2016年8月22日月曜日

佐藤優の本には学術書並みの価値がある

こちらのブログは相変わらずご無沙汰状態ですが…



Kindleにいれて最近読んでいるのは、やはり佐藤優の本。



彼は人文科学の側面から様々な本を書いておられますが、どれだけのペースで書けばあれだけの本を出せるのか、と考えてしまう程にバンバン出版されています。


僕もまだまだ彼の本は読めていない方ですが、最近読んだ(読んでいる本)でオススメのものが数冊あるのでここでまとめておきます。




最初に結論を言ってしまうと、佐藤優の本は見方によっては学術書を超える価値があります。新書で、学術書を超えるだけのコンテンツにたどり着くことが出来る。

これは、彼が偉大な読書家である上に、その経験を分かりやすく解説しているのが理由だと思っているのですが、特に、今の世の中で起こっていることを冷徹に考えるには、彼の本、あとは池上彰の本を読んだほうがいいです。



彼の本で特にオススメなのは、まず「希望の資本論」。




この本では、ポスト冷戦の時代だからこそ、我々(特に、僕を含む労働者)は資本論の考え方を理解して、自分の中に落とし込まなければならない、ということが書かれています。



ちなみに、賃労働で得られる賃金には

①自分が仕事を続けるためのリフレッシュを行うための費用、

②家族を養うための費用、

③自分を教育して(技術革新に対応するための)アップデートをするための費用、


の三要素が含まれている、ということを初めて知ったのは、



この本で、「なるほど、こんな考え方があるのか!」ということを知って感動したのですが、なんのことはない、この三要素というのは、他でもない資本論で説かれていることなんですよね。いかに自分が無知だったかを思い知らされる結果となっていますが、要するに、こういう話について、「希望の資本論」では述べられているわけです。


この本では、資本論を踏み台にして、「資本主義には限界がある」ということ、そして、その止揚として「資本主義が介在しない世界がある」ということを理解することが、資本主義の世の中を生きていく術だ、ということが書かれていますが、そもそも資本主義とはどういう考え方なのか?ということを知らないと、こういう思考プロセスにはたどり着けないわけです。


なので、この本をはじめ、佐藤優が「資本主義」「資本論」について書いている本は、特に、賃労働に従事している、つまり、自分の労働力を価値として提供している人こそ、理解しておくべきなんじゃないか、と思うわけです。


というのも、人間というのは、自分をメタ思考して突き放して観察することがとても下手な生き物だからです。そういう状況に置かれた場合に、「なるほど、これはこういう状況なのか」ということを、自分自身で冷静に把握できるようにしておいたほうがいい。


そういう意味で、「資本論を読みこなす」というよりは、「資本論を通じて思考力を養う」という視点で、彼が解説しているこの本を読んだ方が良いのでは、と思うのです。




もう一冊、こちらは現在読んでいる最中ですが、「組織の掟」という本。


こちらも、佐藤さんが外務省勤務時代に経験したことを消化させて、「組織で生きていく術」について忌憚なく書かれています(内容としては、泥臭い方法論について書かれています)。


この本を読むと、「自分が会社員の時にこの本に出会えていればなあ」と思います。まあ、今でもそこまで上手く立ち居振る舞いできる自信はありませんが、「なるほど、組織とはこういうものか」ということを、これもメタ思考として持っておくことができたので、もう少し上手く生きれたんじゃないか、と思うのです。


特に、僕と同じかそれ以下の年代の方で、(日本の)組織の中で仕事をしている人は、この本を読んだ方がいい。世の中には自己啓発系の本で「仕事と上手く付き合う」ということが書かれているものが多いですが、この本は結局、「人とどう付き合うか」という、「人たらしになるには」という内容で説かれている色合いが強いです。


いや、しかし、この本を20代前半で読みつつ、自分で別に収入源を立ち上げることが出来れば、経済的リスクヘッジも出来ますし、人との付き合い方についても学ぶことが出来ますし、本当に色んなことで困らないと思います。


佐藤さん、もう4年早くこの本を書いて下さいよ…って、僕が本当に思っています。




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