将来的に独立や起業を考えている人が、「まずは企業に入ってスキルと人脈を作ってから独立しよう」と考えたり、そういうアドバイスをする人が多いようですが、この論理は結構曖昧で、アテにならないと思っています。
(早速余談ですが、僕はこの「会社に入る」という表現が、どうも好きではありません)
これは、自分の僅かな会社員経験と、今フリーランスとして仕事をしている経験から思うことです。
①会社員の「スキル」は、全能的ではない
よく言う「スキル」という言葉は、案外曖昧な言葉であると思うし、実際そうであると思います。
例えば、今会社員として、広告の営業を行っているとします。こういう仕事で必要とされる「スキル」は、クライアントに対して課題を聞いて、内容を提案し、解決策を提示する、という流れに沿ったものだと考えることができるでしょう。
「広告」といっても、求人広告やプロモーションなど、いろんな広告があるために一概には言えませんが、いずれにしても、
・クライアントが抱えている課題がどこかにあって、それを聞き出す必要がまずあり
・それに対して、同業他社の成功事例を調べたり、業界の情報を調べたりして、具体的な提案、解決策を提示し、
・実際に広告を作り、効果を出す
というような能力が(一人でするかどうかは別として)求められることは、殆ど事実だと思います。
問題は、この一連の流れで何を「スキル」というのか、ということです。
クライアントを探してくるのがスキルかもしれないし、どんな課題を抱えているのかを聞き出すのがスキルだともいえるし、調査能力はスキルのようであるし、そこから具体的な提案を行って、実際に効果を出す、というのも、スキルだと言えそうです。
もし仮に、これら全てを自分で行って「スキル」が身に付いたとしましょう。これはこれで、自分の実績となり(厳密に言うと「会社」の実績ですが)、自信がつくのは間違いありません。しかし、その「スキル」が、転職や独立をした時に全てそそまま役に立つのかといえば、絶対にそうではないでしょう。
転職の場合だと、同業界に転職するだけが選択肢ではありません。BtoBの仕事だったのがBtoCに変わることだってあるでしょうし、広告業界から人材業界や旅行業界に身を移すことだってあるでしょう。
独立する場合も、会社員時代に関わった業種と、自分が独立してやりたい職種、業種が異なる場合だって多々あるでしょうし、経営者となると、「現場」だけではなくお金のやりくりや人材の育成等もしなければならなくなるでしょうから、やはり会社員時代に身につけた「スキル」だけでは、絶対にカバーできない部分が多くあると思います。
(ただし、この「独立するためのスキル」というのが、もっと専門的なものの場合は、もう少し整合性がとれるかもしれません。例えば翻訳会社で経験を積んだ後でフリーランス翻訳として独立したり、経理・法律などを仕事とするために税理士事務所や法律事務所で働く、もしくはプログラム、ITエンジニアリングの経験をそういう会社で積む、といった風に。ただ、それでもチームとして行うことと、身一本でする際に必要なものは、異なると思います)
僕の知り合いの方で、40歳を過ぎてから会社員を辞め、織物の世界に転身された方がおられますが、織物の「スキル」は退職後に勉強されていました。これは極端な例ですが、会社員の「スキル」なんて、案外環境を変えると通用しなかったりするものなのかもしれません。
②法人の繋がりを個人の人脈と勘違いしてはいけない
よく、自分の人脈自慢?をされている人がいますが、組織の一員として仕事をしている場合、「人脈」は決して個人のものではなく、会社の資産だと考えるべきだと思います。
例えば、僕がどこかの大きな企業の、カスタマーサポートで働いているとしましょう。
もしくは、コンシェルジュでもいいです。
顧客としては、電話をして相談をした際に、サポートがとても良い対応をしてくれたとして、その時に思うのは「〇〇社のサポートの対応はすごく良い」というものでしょう。
もしくは、コンシェルジュの場合でも「〇〇ホテル△△店のコンシェルジュは、すごく良かった」と、なると思います。(この場合は、まだ名前は覚えているかもしれませんが)
ただ、いずれの場合も、それが「すごい」のは、企業(看板)なわけです。
Appleの製品だから、発売前から並んで買う、という人は沢山いますが、これが「藪内パソコン会社」のパソコンだと、誰も並ばないわけです(笑)
会社に勤める、ということは「会社の看板(ブランド)を借りて仕事をする」ということに他ならない訳ですから、そこで出会う人や、仕事をする仲間、クライアントというのは、よくも悪くも「看板で付き合っている」ということを、意識しておくべきではないでしょうか。
(立ち上げほやほやのベンチャー等は、ゼロのところからブランドを立ち上げる、という意味では必ずしもそうではないかもしれません)
もっというと、この「スキル」と「人脈」というのは密接に繋がっていて、特に「スキル」がある=解決策を持っている、と見なすと、そういう場所には人が集まります。ただ、その「スキル」も個人のものというよりは「会社」の資産であったりするわけで、結局「会社員」というのは、会社の看板を借りてスキルを習得し、人と付き合っているもので、特にネットワークに関しては、看板を下ろしたらなかなかついてくるものではないと思います。
◎起業したければ、すればいい
結局のところ、「会社員として「スキル」と「人脈」を作ってから〜」なんていうのは、いい訳だと思うんです。
もちろん、本当にそうしようと思って、まず会社員をしてから独立し、成績・実績を残している人もいるのでしょうが、大半の人は「生活資金が必要」とか、なんとかかんとかの理由を適当にすり替えて、生きているだけです。
自分も、半分強制的に今の環境に身を置いたわけですが、腹を決めて進まないと見えて来ないことがあることが分かりました。
何をするにしても、最初はゼロなんです。スキルもなければクライアントもいない。実績もない。誰だってそうです。
だから、ゼロから始めるしかないんです。それを変に理由をすり替えて生きていると、最終的に目標を手段がすり替わって人生を終えるか、振り子の針が戻されても何も手にしていない自分に驚くのが関の山でしょう。
あ、でも、もちろん会社員をしている中でできた知り合いが、一生のビジネスパートナーになることもあると思いますし、習得したスキルが身を助けることもあると思います。ただ、それは絶対的な保障がないということと、スティーブ・ジョブズが"connecting the dots"と表現したように、最初から先を見て、打算的に行えることではない、ということです。
僕は、人の生き方にあれこれ口出しする権利はありませんし、その人が選んだ道だから、それでいいとは思います。(結局、潜在意識は顕在化するのです。)
ただ、相手を尊重するということと、「それでも自分はこう思う」と主張をすることは全く別だと思っているので、今回はこんなことを言葉にしてみました。
(早速余談ですが、僕はこの「会社に入る」という表現が、どうも好きではありません)
これは、自分の僅かな会社員経験と、今フリーランスとして仕事をしている経験から思うことです。
①会社員の「スキル」は、全能的ではない
よく言う「スキル」という言葉は、案外曖昧な言葉であると思うし、実際そうであると思います。
例えば、今会社員として、広告の営業を行っているとします。こういう仕事で必要とされる「スキル」は、クライアントに対して課題を聞いて、内容を提案し、解決策を提示する、という流れに沿ったものだと考えることができるでしょう。
「広告」といっても、求人広告やプロモーションなど、いろんな広告があるために一概には言えませんが、いずれにしても、
・クライアントが抱えている課題がどこかにあって、それを聞き出す必要がまずあり
・それに対して、同業他社の成功事例を調べたり、業界の情報を調べたりして、具体的な提案、解決策を提示し、
・実際に広告を作り、効果を出す
というような能力が(一人でするかどうかは別として)求められることは、殆ど事実だと思います。
問題は、この一連の流れで何を「スキル」というのか、ということです。
クライアントを探してくるのがスキルかもしれないし、どんな課題を抱えているのかを聞き出すのがスキルだともいえるし、調査能力はスキルのようであるし、そこから具体的な提案を行って、実際に効果を出す、というのも、スキルだと言えそうです。
もし仮に、これら全てを自分で行って「スキル」が身に付いたとしましょう。これはこれで、自分の実績となり(厳密に言うと「会社」の実績ですが)、自信がつくのは間違いありません。しかし、その「スキル」が、転職や独立をした時に全てそそまま役に立つのかといえば、絶対にそうではないでしょう。
転職の場合だと、同業界に転職するだけが選択肢ではありません。BtoBの仕事だったのがBtoCに変わることだってあるでしょうし、広告業界から人材業界や旅行業界に身を移すことだってあるでしょう。
独立する場合も、会社員時代に関わった業種と、自分が独立してやりたい職種、業種が異なる場合だって多々あるでしょうし、経営者となると、「現場」だけではなくお金のやりくりや人材の育成等もしなければならなくなるでしょうから、やはり会社員時代に身につけた「スキル」だけでは、絶対にカバーできない部分が多くあると思います。
(ただし、この「独立するためのスキル」というのが、もっと専門的なものの場合は、もう少し整合性がとれるかもしれません。例えば翻訳会社で経験を積んだ後でフリーランス翻訳として独立したり、経理・法律などを仕事とするために税理士事務所や法律事務所で働く、もしくはプログラム、ITエンジニアリングの経験をそういう会社で積む、といった風に。ただ、それでもチームとして行うことと、身一本でする際に必要なものは、異なると思います)
僕の知り合いの方で、40歳を過ぎてから会社員を辞め、織物の世界に転身された方がおられますが、織物の「スキル」は退職後に勉強されていました。これは極端な例ですが、会社員の「スキル」なんて、案外環境を変えると通用しなかったりするものなのかもしれません。
②法人の繋がりを個人の人脈と勘違いしてはいけない
よく、自分の人脈自慢?をされている人がいますが、組織の一員として仕事をしている場合、「人脈」は決して個人のものではなく、会社の資産だと考えるべきだと思います。
例えば、僕がどこかの大きな企業の、カスタマーサポートで働いているとしましょう。
もしくは、コンシェルジュでもいいです。
顧客としては、電話をして相談をした際に、サポートがとても良い対応をしてくれたとして、その時に思うのは「〇〇社のサポートの対応はすごく良い」というものでしょう。
もしくは、コンシェルジュの場合でも「〇〇ホテル△△店のコンシェルジュは、すごく良かった」と、なると思います。(この場合は、まだ名前は覚えているかもしれませんが)
ただ、いずれの場合も、それが「すごい」のは、企業(看板)なわけです。
Appleの製品だから、発売前から並んで買う、という人は沢山いますが、これが「藪内パソコン会社」のパソコンだと、誰も並ばないわけです(笑)
会社に勤める、ということは「会社の看板(ブランド)を借りて仕事をする」ということに他ならない訳ですから、そこで出会う人や、仕事をする仲間、クライアントというのは、よくも悪くも「看板で付き合っている」ということを、意識しておくべきではないでしょうか。
(立ち上げほやほやのベンチャー等は、ゼロのところからブランドを立ち上げる、という意味では必ずしもそうではないかもしれません)
もっというと、この「スキル」と「人脈」というのは密接に繋がっていて、特に「スキル」がある=解決策を持っている、と見なすと、そういう場所には人が集まります。ただ、その「スキル」も個人のものというよりは「会社」の資産であったりするわけで、結局「会社員」というのは、会社の看板を借りてスキルを習得し、人と付き合っているもので、特にネットワークに関しては、看板を下ろしたらなかなかついてくるものではないと思います。
◎起業したければ、すればいい
結局のところ、「会社員として「スキル」と「人脈」を作ってから〜」なんていうのは、いい訳だと思うんです。
もちろん、本当にそうしようと思って、まず会社員をしてから独立し、成績・実績を残している人もいるのでしょうが、大半の人は「生活資金が必要」とか、なんとかかんとかの理由を適当にすり替えて、生きているだけです。
自分も、半分強制的に今の環境に身を置いたわけですが、腹を決めて進まないと見えて来ないことがあることが分かりました。
何をするにしても、最初はゼロなんです。スキルもなければクライアントもいない。実績もない。誰だってそうです。
だから、ゼロから始めるしかないんです。それを変に理由をすり替えて生きていると、最終的に目標を手段がすり替わって人生を終えるか、振り子の針が戻されても何も手にしていない自分に驚くのが関の山でしょう。
あ、でも、もちろん会社員をしている中でできた知り合いが、一生のビジネスパートナーになることもあると思いますし、習得したスキルが身を助けることもあると思います。ただ、それは絶対的な保障がないということと、スティーブ・ジョブズが"connecting the dots"と表現したように、最初から先を見て、打算的に行えることではない、ということです。
僕は、人の生き方にあれこれ口出しする権利はありませんし、その人が選んだ道だから、それでいいとは思います。(結局、潜在意識は顕在化するのです。)
ただ、相手を尊重するということと、「それでも自分はこう思う」と主張をすることは全く別だと思っているので、今回はこんなことを言葉にしてみました。
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