2015年1月31日土曜日

世間で言われている「英語力」について考えてみる(3)〜その英語勉強法は正しいのか

今回は、英語の勉強法について。

勉強法というよりも、習得方法といったほうがいいかもしれません。


特に今回は、「英語力」を「仕事で必要な英語力」に限定してみようと思います。

なおかつ、「仕事で必要な」というのも漠然としているので、もう少し限定してみようと思います。


最近思うのは、「〇〇英語留学」が台頭してきていることです。

数年前から、フィリピンやマレーシア等、東南アジア発の格安英会話レッスンサービスが出てきています。

最近はどうやら、沖縄でも同様のことが行われているようです。

これらのサービスは、料金が安いことからも利用者が多いらしく、多くの方が利用されていますし、好評のようです。

ただ、私が素朴に疑問に思うのは、「そのサービスで使う(学ぶ)英語は、仕事で役立つのか?」ということです。


これは、英語に限ったことじゃありませんが、

例えばテニスや水泳でも、世界選手権やオリンピックに出場するためには、ものすごい量と質の練習が必要なわけですよ。

週末に趣味でテニスコートに行く、スイミングスクールに行く、だけでは、絶対にウィンブルドンやオリンピックには出られません。


それと同じで、「英語力を高めたい!」という時には、その「高めたい英語力」を、どんな時に、どんな程度で必要なのか(要するにアウトプットの程度)をしっかりと考えないと、ただの趣味で終わってしまうのではないか、と思うのです。
(もちろん、始めから趣味としてするのであれば、週末のテニスコートやスイミングスクールでいいわけですよ。)


今、一般的に仕事で必要とされる「英語力」というのは、海外企業へのプレゼンや営業、交渉等で必要な英語運用能力を指すと、私はイメージしています。

自社製品の売り込みをするため、自社の決算を発表するため、新規顧客との条件調整をするため、クレームを対処するため。

これらの場面、用途で必要な英語力が、巷で言われている「英語力」なのだとしたら、その力を付けるために、間違った方法で勉強をしていないか?ということは、今一度考える必要があるのではないかと思います。


私は最近、もっぱら翻訳(特に化学系特許翻訳)を行っていますが、ここで必要な「英語力」は、先に伸べたものとは大きく異なります。例えば、基本的に話す必要がないので、スピーキングやリスニングの能力はそれほど高くありません。ただ、誤字誤植に気づいたり、書かれている内容を理解する力は必要です。

何事においてもそうですが、到達地点が決まっていないと、正しい道筋は分かりませんし、決めようがありません。

野球で日本一を目指すなら、素振り1000本や連係プレーの練習、バントの練習等を、それなりの量と質でこなす必要があります。

料理を例に取っても、家族のために作るものと、料亭で出すものを作る時に必要な要素は異なります。

英語でも一緒で、結果のためのプロセスを取り違えている人が多いのではないかな、ただプロセスの消化をやみくもに行っている人が多いのではないかな、ということを、感じるわけです。

格安英会話で、商談の勉強ができるのでしょうか、英語で契約書が書けるようになるのでしょうか(私がしたことないだけなので、もし実際にされた方がおられましたら、教えて下さい)。

到達地点は人それぞれ違うはずなのに、それを「英語力」という、空虚な言葉でまとめてしまうことは危険ではないでしょうか。




0 件のコメント:

コメントを投稿