こういう話(理論?)を、よく聞くんですよね。
僕の周りでは、10人以上言っている気がするんですが。
要は、恋人とか夫婦だと、男のほうが年上で、2人が釣り合うのは、精神年齢が男のほうが低いから(又は、女のほうが高いから)、なんだそうです。
これは、男女両方から聞くことがあるんですね。
でも、これは不思議な話です。
そもそも、「本当にそうなんかいな?」、と、いろいろ考える癖のあるぼくは、思ってしまうわけです(笑)
例えば、考えてみましょう。
26歳の男と、23歳の女が恋人(又は夫婦)であるとします。
このとき、実年齢は男のほうが3歳上です。
仮に、お互いが釣り合う存在であるとすれば、思考の成熟度や思考が、ある程度一致するもの、と考えるのが、一般的なんでしょうね。
これはぼくも、ある程度筋の通った考え方、論理展開だとは納得しています。さすがに、考え方が全く合わない、似ていない者どうしでパートナーになることは、極めて稀ですから。
ただ、これを根拠にしても、「男のほうが精神年齢が低い(か、女のほうが高い)」というのは、いささか論理飛躍している感が否めません。
上の例で考えてみましょう。
ここで一つ、ぼくの考えを加えておきますと、「精神年齢は数値化できない」というものがあります。
このことについては、先日の記事「年齢は無次元数」に書いているので、そちらをご覧頂きたいので、そちらに詳しくは譲りますが、
「そもそも、年齢相応であるかどうかを測る基準が存在しないよね」ということです。
ただ、これを今回も当てはめてしまうと、説明がとても難しくなるので、今回は便宜的に、「精神年齢を数値として表す」ことにします。
26歳の男と、23歳の女に登場してもらいましょう。
「2人の精神年齢が釣り合う」とすれば、以下のように場合分けできるはずですね。
①男の精神年齢が、23歳である。
これは、先に述べた「男の精神年齢のほうが低い」パターンですね。
②女の精神年齢が、26歳である。
これは、「女の精神年齢のほうが高い」、間接的に、「男のほうが低い」、と言えなくもないでしょうから、あてはまることとします。
③2人の精神年齢が、26~23歳の間である。
これも、間をとって24.5歳だとすると、「男のほうが低い」ことになりますから、あてはまります。
さて、一般的に「精神年齢の高低」について触れられているケースを分解すると、恐らくこの3パターンのいずれか、を意味していると思われます。
(男女の年齢を逆にして、「男のほうが精神年齢が高い」と言うことができるケースも、あるわけですが)
ただ、上の3パターンは、存在する場合を全てカバーできているわけではありません。
ざっと考えるだけでも、二パターンの欠落があります。
④2人の精神年齢が、23歳より若い。
表現は良くないかも知れませんが、2人とも中二病的な心の持ち主である場合だって、あるわけです。
これだと、「男のほうが精神年齢が低い」というのは、間違っていますね。「2人とも、精神年齢が低い」のです(笑)
そして⑤。これはもう、皆さんお分かりでしょう。
⑤2人の精神年齢が、26歳より高い。
例えばなんなんでしょう、子供もできるから(夫婦の場合)、養育費のことを考えたり、親の介護のことを考えたり…なんて感じなのでしょうか。
この場合、「2人の精神年齢が高い」ということになるわけです。
(まあ、そもそも「○歳での精神年齢」なんてものも定義できないので、こういうまとめかた自体、破綻しているんですけど)
普段何気なく使っているような言葉を、自分なりに場合分けを考えて紐解いていくことで、いかに私たちが普段、何も考えていないかが分かるわけです。
まあ、こんな屁理屈をあれこれこね回すのもやらしいとは我ながら思いますが(笑)、思考実験のモデルなんて、至る所に転がっているわけです。
身の回りにふと転がっているものに素朴な疑問を持つことって、大事ですよ。
結論としては、精神年齢(そして実年齢)に高いも低いもなくって、自分の経験や価値観、思考が、その人となりを形成するのだし、その中でお互いのことを理解しあえるような人とパートナーシップを育むことが尊い、ということなのです。
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