2016年2月28日日曜日

A級順位戦最終局大盤解説会に行って来た(1)



昨日の夜は大阪で、将棋のA級順位戦最終局の大盤解説に行って来ました。



将棋には、順位戦という制度がありまして、これは細かく説明するといくら時間があっても足りないんですが、


簡単に言えば、「序列を決める戦い」です。


将棋の世界は典型的なピラミッド構造になっていまして、


一番上が名人(今はかの羽生さん)

その下に、トッププロ10人が所属できるA級

その下には、「鬼の住処」と呼ばれる、13人前後のB級1組

その下には、B級2組

その下にC級1組

更にその下に、C級2組

というレイヤーが、マズローの欲求構造のように、きれいなピラミッドになっています。


将棋のプロになるには、「奨励会」という育成機関に所属をして、

年齢制限までに規定の成績を収めて「四段(=プロ)」にならないと、退会を余儀なくされるという仕組み。

奨励会の入会時には、段位は6級から始まりまして、

書道のように段・級が上がっていって、「三段」になれれば、プロの一歩手前「三段リーグ」に所属して、半年間かけて、16人の総当たり戦を行って上位2人のみがプロになれる、という世界。


四段になったプロはまず、C級2組から順位戦を戦います。

順位戦は一年の長丁場で、基本的に4月以降に始まり、2・3月に大詰め。

ここでも、各クラスで上位2~3人のみが「昇級」でき、年度が変われば次の順位戦を戦います。


すごく簡単に言えば、将棋界のトップの証である「名人位」への挑戦権を争えるのはA級の10人のみ。

なので、C級2組から将棋人生を始めたプロは、名人位に挑戦するには少なくとも5年間かけて順位戦を勝ち上がっていかないと、最高章のタイトル戦を戦う資格は得られないことになります。


(なお、将棋には他にもタイトル戦が複数あって、これらは順位関係なく勝ち進めれば、理論上は挑戦することができます。)


で、A級順位戦というのは、選ばれしトップ10人が名人戦挑戦権をかけて、総当たりで一年掛けて、9回戦います。


この戦いが「順位戦」と言われる所以は、トップ10人(そして順位戦に参加しているプロ棋士全員)には、1位、2位、3位…と、まさに「順位(序列)」が与えられるからでして、

トップ10人と言えど、その成績によって1~10位が決まるわけです。


で、順位戦が面白いのは、その順位1つが、昇級降級に関係するからなんですね。


各クラスで2~3名昇級者が毎年出る、ということは、「同じ人数だけ降級者もでる」ということに他ならないわけですが(B級2組以下は本当は違うんですが、ここでは便宜上同じとします)、

その降級枠が、順位1つの差で決まってしまうと言う、シビアな世界。


例えば今回のA級で言うと、

8回戦(最終局のひとつ手前)の時点の成績が下の人は4人。

その成績は、2勝6敗、3勝5敗で、

最終局の対戦の組み合わせと対戦結果で、最終成績が決まるわけです。

説明を簡単にするために、上の成績四人が最終局を終えて、全員3勝6敗になったとします。

(これより成績が悪い人はいない)

この場合、二人の降級枠をどうやって決めるのか、というと、「順位」になるわけです。


例えば、上の四人の順位戦での序列が

2位、4位、6位、8位


だったとすると、同じ成績で並んだ場合は、下の二人(この場合6位と8位)が、自動的に降級。


で、最終局の結果の組み合わせ次第で、順位と成績の組み合わせに複数の場合が生じ、

それが分かるまで、自分が降級になったのか、そうでないのか、というのが本人には分からない、というのもまた、順位戦の「醍醐味」なのです。


例えば、自分が勝っても、他の二人が共に勝つと自分は降級、とか、

自分が勝って、Aさんが勝ち、Bさんが負け、だとBさんが降級とか、

自分が勝って、Aさんが負け、Bさんが勝ち、だとAさんが降級、とか、


とにかく、複雑な場合があるわけですね。



おまけに、将棋の対局ってイメージが分からないかも知れませんが、A級順位戦の場合、二人の持ち時間が各6時間(6時間、考えられるということ)、

対局開始が朝の10時で、終局は午後11時~午前2時くらい、という、まさに「長丁場」。


こういうこともあって、毎年A級順位戦の最終局が行われる日は「将棋界の一番長い日」と言われるわけですが、


要するに、この日の一斉対局の解説が行われるので、行って来たということです(笑)


長くなってしまったので、次の記事に移ります。





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