2016年2月21日日曜日

結果に値段は付けられない



↓の記事が、世界で共感を呼んでいるようです。


「10分で終わらせた仕事に、ナゼ高い料金を払わなければいけないんだ?」この”返答”に世界から称賛と納得の声



この話は、以前にも全く同じスケルトンで聞いたことがあって、その時は「本当にその通りだ」と納得していたのですが、


今考えてみると、この考え方は破綻していますし、この思考回路をしてしまうと、極めて危険ですね。



どういうことかというと、


このデザイナーの仕事は、リンク先にも書かれている通り、「成果物を提供した」ことなんですよね。


その「成果」に含まれる価値判断の指標、と言いますか、「お金を払うことに対する考慮要因」とでも言うべきものの中に、「どれだけの時間をかけたのか」ということは含まれていないはずなんです。

というか、「時間に対してお金が払われる」というのは、いわゆる従業員、即ち、労働力を提供した対価として、時給、日給、月給を受け取っている人達のことですから、厳密に言って、フリーランスでやっているデザイナーとかに、この定義を持ち込んでしまうのはよくありませんね。


で、ここで「必要悪」として登場しているクライアントさん。


このクライアントさんが、上で述べた「時間の対価」という考えを理解した上で、意地悪な質問をしているのか、それともそこまで頭を使うことができない「お馬鹿さん」なのかは分かりませんが、


「10分でできた成果物になんでこんなに高額なお金を払わないといけないのか?」という質問はKYと言うか、すごく頓珍漢ですね。




で、それに対するデザイナーさん(仮にAさんとしましょう)の答え。


「10分でも終わらせることができるように、10年かけて勉強してきたんですよ。」




この回答は、あまり気の利いた、冴えたものではありません。




Aさん、10分でできることを10年かけてきた、と言っていますね。


それが、この成果物のフィーに含まれている「価値」である、と。







そうすると、仮に「この仕事を10分で終わらせることができるように、3年かけて勉強してきたんですよ」という、別のデザイナー(Bさんとしましょう)がいたらどうしましょう?



もし僕が、「意地の悪い」クライアントだとしたら、「同じものを10分でできるようにかけた時間が10年と3年だったら、Bのほうが優秀じゃないか。じゃあ、これからはBに頼もうかな」と、考えます。


それに、実際に考えると、28歳のデザイナーと、35歳のデザイナーがいて、この二人が25歳からデザインの勉強をした上で、同じフィーで同じ成果を出しているのなら、28歳のデザイナーのほうが、稼げる額は多くなりますよね。



まあ、これは殆ど思考実験の話なので、現実的に起こる可能性は低いと思いますが、


デザイナーに限らず、フリーランスが提供しているのは「成果物」であって、そこに時間という指標は含まれていない。




今回の仕事で言うと、クライアントが欲しかったのは「成果物」そのものだったわけで、そこに「時間」という物差しを持ち込むことが、そもそも間違っている。


もし、急に「急遽、明日使用するデザインのデータが必要になった!」という事態が会社で起こったら、どうにかこうにか、その仕事を引き受けてくれるデザイナーを探しますし、むしろ支払う金額は「高額」になるでしょう。


ここで、「値段が高いからお願いしない!」なんてことにはならないはずです。だって、クライアントが欲しいもkのは「明日の本番までに、要望を満たすデザインを作成して納品してくれる」という「結果」なんですから。


これ、実はとても重要なことなんですけど、「結果に値段は付けられない」んですよね。


東京から大阪に、急遽どうしても行かないといけなくなった場合に、


格安夜行バスも

新幹線の指定席も

飛行機の安いチケットも


全て売り切れていたとして、新幹線のグリーン車か、飛行機のビジネスクラスしか空いていなかったとします。


大阪での用事は、どうしても外せないもの。


その時に欲しい結果は、「なんとしても時間までに大阪に着くこと」なんです。


だから、「東京から大阪に行く予算としては、これくらいが妥当かな」なんて、普段考えていたとしても、それは「結果を得るために天秤にかけないといけないこと」ではないわけですね。



何か、自分で商売をするときに価格設定はネックとなりますし、「相場」を参考にするのが一般的ですが、


究極的に、どんなビジネスであれ、相手が欲しいのは「成果」であり「一定の結果」なわけです。そして、成果とか結果自体に、値段は付けられない。



今回は抽象的な話になってしまいましたが、このことは頭の片隅に置いておいた方が良いと思いますね。




(翻って、上のリンクに登場する「クライアント」は、そこまで今回の「成果物」を欲しいと思っていなかった、と考えられるかも知れません)




0 件のコメント:

コメントを投稿